- あらすじ
地動説を生き延びさせるために、神童ラファウが自ら命を絶ってから10年が経った。
代闘士として殺人を繰り返す超ネガティブ思考の青年・オクジーは、同僚の超ポジティブ思考の男・グラスに「絶対の信頼がおける『希望』を見つけた」と告げられる。
そしてグラスが取り出したのは、「火星」の観測記録だった―。
私達はこの世界に絶望すべきなのか――?
あらかじめ絶望しておけばそれ以下の悲しみも苦しみもない。ならばこの世界に絶望しておくのが正解なんだろうか? いや、そんなことはない。
まったく違う。その理由はこの漫画に描いてある。
- おすすめポイント
・ワクワクする哲学漫画、新キャラクターと新展開に鳥肌が止まらない!
描かれる物語の時代を考えると、荒々しく素朴な描写は合っている。
1巻の内容を視点を変えて繰り返している様に描かれているのも面白いです。真実を追い求める人類は一進一退を繰り返してきた故に現代に辿り着いた、と深読みさせてくれる今作。
また興味深いのは、登場人物達の行動には宗教的な動機が大きい点。葬式仏教にしか縁のない身では、理解が及ばない面があるが、死が身近な存在だった時代に、信仰にのめり込むよりも、真実に近付くことで微笑みながら死んでいった人間がいたというのは衝撃的です。
そんな面も含めて、時代の目撃者的な意識を持って読み進めると、後々凄い世界が広がりそうな気がした今作。待ちに待ったかいがありました!
- おすすめしたい他作品
・ヒストリエ
舞台は紀元前。奴隷の身分にありながら、豊かな教養と観察眼、判断力、そしてそれらを駆使して行動を起こす度胸を兼ね備えた、不思議な青年・エウメネスがいた。
偉大なる哲学者・アリストテレスの逃亡を助けながら、彼が目指したのは、「故郷」と呼ぶカルディアの街…。のちにアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの、波乱に満ちた生涯を描いた歴史物語。
本作も人々の思想と魂に触れ、読むにつれて引き込まれていく作品。