著者:森 薫
- あらすじ
旅を続ける英国人スミスと案内人アリ。
アラル海にある双子の村から山を越えて南下し、たどり着いた場所はペルシア。
逗留先の主人から歓迎を受けるふたりであったが、そのウラでは第4の乙嫁アニスが、誰にも打ち明けられない悩みを抱えていた……!
姉妹妻と呼ばれるこの地域の習慣を題材に、いま描き出される真の友情の物語。
- おすすめポイント
・これまでの乙嫁語りとはちょっと異質な巻。新しい乙嫁であるアニスのお話。ふわふわとしたおとぎ話のようで、とても面白く読めました。何もかも満ち足りているであろう生活と幸福も、比較するものや違いがわからなければ実感できないものです。
スミスとアリはペルシアに移動、友人の計らいである富豪の家に滞在。
客人を持て成すことが名誉な事という考えはヒストリカルの世界にはよくある感じ?
息子も産み贅沢で何不自由のない生活、夫にも愛され第二夫人もいないのに何か満たされないアニス。
女性は人前には出ないイスラム文化のなか、サウナ的なお風呂屋さんが女性の愉しみというのもなるほどなと思う。
その中で女同士の親友を見つけ契りを交わす姉妹妻の風習。
女性の行動に規範の厳しい世界では子供を成さない姉妹妻はOKなのかな?
百合の花のような芳香にクラクラする異文化のお話でした。
舞台はスミスさんの滞在地へ。
前巻が戦闘シーンだらけだったのに対し、この巻はお風呂のシーンが大半です。
さっぱりして良いなと思ったら、後書きにもそうあって笑いました。
ここでは、姉妹妻のお話。土地によって色んな風習があるものですね。
裕福なお宅の唯一の奥様であるアニスさんですが、この生活は寂しいと思います。
家の奥に1人大事に仕舞われている感じかなぁ。
公共のお風呂屋さんに行って、シーリーンと出逢えて良かったですね。
大事に仕舞われて過ごすのも、大好きな親友と一緒なら楽しいかも。
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