著者:森 薫
- あらすじ
中央アジアを舞台に、さまざまな結婚物語を描き連ねていく『乙嫁語り』。
英国人の旅行者スミスは、旅の目的地アンカラでタラスと再会したあと、ふたたび旅を始めることに。
それは、もう一度アミルとカルルクの住む地域へ戻る旅……。
新たに手に入れたアイテム「写真機」とともに、スミスとタラスと、案内人アリの旅路が始まる!
- おすすめポイント
・まるでスミスとタラスの旅に同行しているよう。滴らんばかりの旅情。圧倒的な臨場感は、VRゴーグルを覗き込んでいるような錯覚まで抱いてしまった充実の一冊。
前巻末で再会したスミスさんとタラスさんでしたが、タラスさんがそこへ至るまでの経緯が語られました。
いやぁ、前巻でも思いましたが…名も出て来ないタラスさんの(仮)夫さんが優し過ぎる。
彼と一緒に居た方が穏やかに暮らせそうな気もしますが(スミスさんと一緒だと波瀾万丈そうだし)、タラスさんはこれで幸せそうなので良いのでしょう。
以前スミスさんがタラスさんに渡し損なって捨てた時計の行方も語られ、その価値の爆上がりする様子に笑ってしまいました(時計と再会?した時のスミスさんのビックリした顔が面白かったです)。
現地の写真を残すために、再びもと来た道を辿ることにするスミス。
写真機の使い方や現像の仕方を練習したりして、準備を進める。
アリとタラス、ニコロフスキも途中まで同行を買って出る。
道中の街でブランコをするタラスさん、思いの外楽しそうで、弾けるような笑顔を見せる。
今まで薄幸そうな表情で奥ゆかしい態度しか見せなかったけど、元々はこんな明るい一面もあったんだろうな。
今後はタラスさんも心から楽しめる事が増えるのだろうか。
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