- あらすじ
新たな人外×少女の物語、始まるーー。
分かたれる世界でも、繋がり合う心。 昔々、遠く遥けき地に二つの国ありてーー。
触れると呪われるという異形の者棲まう『外』と、人間が住まう『内』で分かたれた世界。
本来であれば、交わらぬはずのふたりが出会った時、小さな物語が密やかに動き出す。
これは朝と夜ーーその深い断絶の宵に佇む、ふたりの御伽話……。
- おすすめポイント
・絵がシンプルで可愛くて、海外の絵本のようなタッチ。世界観がとても素敵な作品です。
嘴を持つ黒の異形と純白の少女。
呪われた「外つ国」に暮らす一匹と一人の日常はいびつなおままごとのようで、その実少女の命を守るための緻密な嘘で塗り固められている。
そんな中、顔のない兵士達の出現によって、薄皮を一枚ずつ剥ぐように明かされていく世界の秘密、少女が信じる「彼岸」と「此岸」の逆転。アイルランド民謡の愛好家なら見逃してはおけない副題からして、二人の別れは運命づけられているようにも思えるがどうか。
境界が侵され始めた両国の狭間で、「行け、我が愛」と呼びかけるのは、はたして先生とシーヴァのどちらなのだろうか。
- おすすめしたい他作品
王族の長男で、巨人の両親を持ちながらも、自身は体が小さく、短剣すらまともに振れないほど非力な王子ボッジ。
しかも耳が聞こえず、言葉が話せないボッジは、周りからは次期王の器ではないと噂され、どこか空虚な毎日を過ごしていた。
しかし、ひょんなことから心が通じる「カゲ」という友達を得て、人生が輝き始める。
悲しい事にも全て人としての想いがあるという立ち位置で書かれていて、非常に作者の徳が高い。これが人間の魅力だ、と感じるし、その確信に共感したくなる作品。