著者:田村 由美
- あらすじ
印象派展に向かう途中のバスで、バスジャックに巻き込まれた久能整(くのう・ととのう)。
犯人の脅しにもひるむことなく、マイペースな発言を繰り返してバスジャック犯を引っかき回したものの、ほかの乗客たちと、犯人宅に“招待”されてしまい・・・!?
天然パーマの大学生・整が、思いがけない展開を導き出す新感覚ストーリー!!
- おすすめポイント
・独特の考察力と知識で周りの人達に語りかけ、その内容が「勉強」になる!ミステリを楽しみつつ、考え方や価値観も主人公から教わるような作品。
バスジャック事件解決から、狩集家の相続問題までの回。
バスジャック犯からの自分が犯した最も重い罪は?という問に対してある青年が子供の時にいじめに遭い、万引きさせられていたことを自白。
青年は自責の念に駆られて生きてきていた。それに対する整の言葉「欧米の一部ではいじめてる方を病んでいると判断するそうです」が印象的。
日本ではそこにいるのが嫌なら逃げて良いよという言葉が浸透しつつあるけれど、本質的には不当にいじめる側がその環境から追い出される方が正しいと思う。
そういう視点をみんなが持てたら良いなと思った回。
- オススメしたい他作品
・7SEEDS
<完結済、外伝有>同じく、田村 由美 先生の作品。
設定、ストーリー、展開、キャラクター、全てが面白い。
奇想天外に進んでいく作品、ずっとはらはらさせられっぱなしです。
早い展開の中にも、個性溢れるキャラクターが、それぞれの設定の回収も細かいところまで描写されいて、メンバー同士の交流も心に響く言葉で彩られていて漫画とは思えない感動的な場面が演出されています。
・ここは今から倫理です。作者の思いが綴られている1巻のあとがきは是非読んで欲しい!
不完全なイケメン先生の倫理の授業が絶妙。倫理に正解を求めることが難しいように、主人公もまた不完全な人間で完全な答えなど持ち合わせていません。
しかし生徒たちには"大人"で、そして真摯です。この主人公のバランスが絶妙でありこの作品の特徴だと思います。
生徒たちの悩みを理解を示し、共感し、救う。こんな姿勢を貫く人物を、どの作品でも見たことがありません。
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